歯周病とは

歯周病・歯槽膿漏

以前は歯槽膿漏(しそうのうろう)と言われており、読んで字のごとく歯を支えている槽(顎の骨)が膿(細菌)によって溶ける状態のことです。

昔は年をとったらしょうがないなどと言われておりましたが、原因が歯周病原菌によって起きるということが解ってきて30年経過しました。

歯周病は細菌感染症です

歯周病の細菌は、歯の表面や歯肉についたプラーク(歯垢)の中にいます。
最近の活動に対する抵抗力は人によって大きな差があり、歯周病になりやすい人となりにくい人がいるのは、そのためです。

歯周病の症状について

初期:歯肉炎

口の中の細菌が増えるにつれて、歯周ポケットの部分に炎症が現れます。歯肉が赤く腫れ、出血が起こります。これが歯肉炎です。

歯肉炎の治療法は、歯周ポケット内の細菌がブラッシングにより減少すれば1週間から10日でなおります。適切なブラッシング指導を受けてください。

また、細菌が長時間、歯面に停滞していると、バイオフィルムと言う膜を形成した歯垢になります。このバイオフィルムはブラッシングだけでは、除去できません。歯科衛生士による、パーフェクトメンテナンスでバイオフィルムを歯面から100%除去します。

中期:歯周炎

歯肉炎の状態が続くと、歯周ポケット内の歯周病原菌の活動により、歯と歯肉の間の結合組織を徐々に壊され、歯周ポケットが深くなります。このとき生体の防御力は、喫煙やストレスなどの危険因子によって、大きく作用されます。

歯周病の初期の段階が歯肉炎で、歯周炎とは、炎症が深部組織に侵攻し歯周靭帯(歯根膜)が壊され、続いて歯槽骨(顎の骨)が吸収していく骨の病気でもあります。

後期:膿が出る状態

また、歯周ポケットからは、口臭の原因となる膿が出るようになります。進行した歯周炎は、治療して元の状態に戻すことはできません。現状より進行しないよう、治療と定期的なメンテナンスが大切になってきます。

歯周病の治療法

歯周病を治すには

歯周病治療は、患者さまと術者の共同作業が大切になります。
歯周病の予後は、次の3つに大きく依存します。

□ 初診時にどのくらいまで歯周病が進行していたか

□ 危険因子の把握が正しくなされ、対処されたか

□ 患者さまの協力度、理解度が高いか(医療担当者の指示や注意事項をよく守り実行するか)

慢性の病気である歯周病治療は、歯科医師や歯科衛生士など、術者によるものだけでは治りません。

患者さまとの共同作業がとても大切になります。患者さま自身が、歯周病についてよく理解する必要がありますので、解りやすい説明をスタッフ一同心がけております。なんでも、ご相談してください。

歯周病治療の流れ

歯周病の予防法

歯周病の進行を止めるには、まず、プラークをできるだけ取り除き(プラークコントロール)、歯周病原因菌を減少させなくてはなりません。 
同時に患者さまの局所的、全身的な危険因子を取り除いたり改善することによって、生体の防御力を強めることも大切になります。

 

免疫応答の活性化

生体にとって過剰な応答(プロスタグランディン、サイトカインなどの「AIDS」免疫系の機能亢進)

プラークの直接作用

細菌性プラークおよびその代謝産物などの直接的な作用で歯周組織が破壊される

免疫系の機能不全

全身性疾患(糖尿病好中球減少症など)
ウイルス性疾患

Q&A

歯周病の基礎知識

Q.歯周病は必ずかかる病気なのでしょうか

A. 歯周病は必ずかかるわけではありません。歯周病の多くは、原因であるプラークや歯石を日頃の歯磨きや、定期的な歯科検診などを受けることにより除去することで予防することができます。

予防できない歯周病もありますが、遺伝性の病気など、非常に特殊な場合です。

Q.歯周病の原因はプラークと聞きましたが、プラークって何でしょうか?

A. プラークとは、歯に付着している白、または黄白色の粘着性の沈着物で、非常に多くの細菌とその産生物から構成されています。

またプラークはバイオフィルムとも呼ばれていて強固に歯に付着してるだけでなく、薬品だけでは除去しにくい状態になっています。そのためにしっかりと歯ブラシ等で除去することが大切になります。

Q.全身の病気と歯周病の関係について教えてください。

A. 歯肉は体の中でも非常に敏感な組織です。

またお口の中は全身の中でも微生物、細菌などが最も多く存在している場所でもあります。そしてあらゆる全身疾患と歯周病の関連性が近年の研究により指摘され始めています。歯周病との関連を挙げられているものには呼吸器系疾患、心疾患、糖尿 病や妊娠などがありますが、なかでも糖尿病との関連は深く糖尿病は歯周病を悪化させる大きな原因のひとつでもあるのです。

歯周病の実体験

Q.歯ブラシのときに出血したり、しなかったりするのですが、どうしてですか?

A.歯肉に炎症が起きていると食物や歯ブラシ程度の刺激でも歯肉から出血しやすくなります。

ただ、炎症の進行やその日の全身の健康状態などにより必ず出血するとは限りません。歯磨きのとき一度でも出血したことに気づいたならば、早めの受診をお奨めします。

Q.朝起きたときに歯ぐきに違和感があるのですが、どうしてでしょうか?

A. 夜寝ている間は、唾液が流れずお口の中が乾きやすくなります。

お口の中が乾くと細菌の活動性が高くなります。つまり寝ている間は歯肉にとって危険な時間といえるでしょう。おやすみ前の歯磨きは特に気を付けましょう。また寝ている間に歯ぎしりしていて歯と歯ぐき(歯肉)に負担があったのかもしれません。

Q.歯ぐきがはれたような気がするのですが、しばらくすると治ります。でもその繰り返しでだんだん歯が動いてきたりするような気がするのですがなぜでしょうか。

A. 歯ぐき(歯肉)がはれたのは炎症があるためです。その症状は多くの場合慢性で、自覚症状がないまま進行します。

ただ、全身的な免疫力が弱まったときなどに痛みや違和感といった自覚症状として現われやすくなります。歯周病の進行に伴って歯を支えていた骨(歯槽骨)が徐々に吸収されますから 、歯の動きも大きくなります。たとえ今はれが治っていても、歯周病が治った訳ではありません。早めに受診しましょう。

歯周病治療のアドバイス

Q.何回も歯磨き指導を受けているのですが、ある程度磨けている(スコアが20%くらいだと言われました)のにもっと丁寧に磨くように、といわれています。自分でもこれくらいが限界だと思いますし、自分で磨くよりも治療をしていただいた方が早く治るのではないでしょうか?

A. 歯ブラシをしていて大事なのはその時にどれくらい磨けていたか、ということだけでなく、自分で自分の歯を全て見落とすことなく磨くことができることです。

歯科医院には毎日通うわけでもありませんから、治療に通院している期間を通じて、磨き残しができるだけないように、磨けないところがないようにしてください。もしも、全部自分で出来なくても治療で通院している間は歯科医院で歯周病の治療の一環としてプラークをしっかり除去してくださいますし、治療後も定期的にリコールしていただければ、歯周病が再発する可能性も少ないです。

Q.歯ぐきの検査をするときや歯石を取るときにチクチクと痛いのですが、どうしてでしょうか。

A. 歯肉の検査では、歯と歯肉の隙間である歯周ポケットの深さを測ります。

また歯石を取るときは歯肉の上に覆い被さるように付いている歯石を取り除くのでどうしても器具の先端が炎症を起こして敏感になっている歯肉に触れます。しかしそれが我慢できないようであれば、表面麻酔(スプレー式の麻酔)を用いるなどの方法もありますので歯科医師に相談して下さい。

Q.歯石はどれくらいおきに歯科医院にとりに行ったらいいのでしょうか

A. 本来、適切な歯磨きができていれば歯石は付きません。

また歯石の付きやすさにも個人差があります。歯磨きの指導を受けても時間がたてば、その記憶が曖昧に疎かになりやすいのも事実です。通常は1年に3回~4回が良いと言われています。また、かかりつけの歯科医師(歯科医院)を決めて、歯石のつきやすさを継続してみていただければ、どのくらいの期間で定期健診を受ければよいかわかります。

歯周病の予防

Q.歯周病は何歳くらいから気をつければよいのでしょうか?

A. 歯周病の原因は歯の磨き残しから歯に付着するプラーク(プラークバイオフィルム)と呼ばれるものです。

よって日々その原因が蓄積されますから、歯が生えた時点から注意する必要があります。一般的な歯周病は40歳前後に発症する場合が多いです。

Q.予防のために歯科医院に通うメリットはどんなものがありますか?

A. 虫歯や歯周病を初期の段階で発見しやすくなるため治療にかかる時間とお金が節約できます。

また問題が何も見つからなかった場合でも、個人に応じたブラッシング指導を受けたり歯のクリーニングなどが受けられます。

Q.歯ブラシは電動と普通の歯ブラシはどちらが歯周病にかかった歯には良いのでしょうか?

A. 一概にはいえませんが、電動歯ブラシだけでお口の中を隅々まで磨くのは難しいですし、長期に使用することにより歯が余分に磨り減ってしまう可能性があります。

むしろ普通の歯ブラシで歯を磨き、電動歯ブラシは歯肉のマッサージ用くらいにお考え頂いた方がいいでしょう。

治療に伴うリスク

再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。

治療の目標を共有し、患者さまと共に二人三脚で歩んでいく姿勢が重要だと思います。 患者さまに合わせて治療期間、治療費、治療内容をご説明いたします。
そして、いくつかの選択肢の中から患者さまに一番あった治療法が選べるように私たちがお手伝いさせていただきます。

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